何となく降り立った定光寺駅。そこは想像以上の『秘境』だった....
- 定光寺駅って?
- 美濃太田から多治見を目指す
- 定光寺駅に着きました
- 定光寺駅探検1:名古屋方面ホーム
- 定光寺駅探検2:多治見方面ホーム
- 定光寺駅探検3:駅周辺を散策
- 定光寺駅付近の廃墟『千歳楼』
- 城嶺橋(しろがねばし)
- 名古屋へ戻ります
- 最後に
定光寺駅って?
定光寺駅は、愛知県春日井市玉野町にあるJR中央本線(中央西線)の駅です。
もともとは『玉野信号場』という信号場で、開設から1年後の1920年に定光寺仮停車場へ昇格されました。
狭いホームはトンネルとトンネルに挟まれたカーブの途中、崖にしがみつくように設置されており、特急や快速の通過時には恐怖すら感じます。
電車は朝夕を除き約30分に1本あり、乗降客数も約200人と他の秘境駅よりは多めですが、ホームから見える景色や付近の集落・廃墟は、秘境感満載です。
美濃太田から多治見を目指す
今回の旅のスタートは『美濃太田駅』。愛知県との県境近くにあり、JR高山本線・太多線・長良川鉄道が集まる比較的大きな駅です。
⇧てきとうに作った路線図
高山本線と中央線、美濃『太』田と『多』治見駅を結ぶ、『太多線』で多治見を目指します。
やってきた電車...いえ、これは気動車ですね。パンタグラフがありません。
太多線は非電化路線なので、キハ75やキハ25などの気動車しか走っていません。
昔は、キハ40やキハ11なども多く見られました。
乗り込んでみました。中はも...313系にそっくり。
運賃表はWIndowsで動いてました。
多治見に到着。ここで中央本線の列車に乗り換えます。
ホームには50分以上先に発車する列車がドアを開けたまま停まっていました。
紛らわしいですね。(一度乗り込んだあとに気づいて降りたってのは内緒)
コキを引っ張るEF64の姿も。多治見はJR貨物の拠点駅でもあります。
乗車する列車がやってきました。こちら側は普通の313系ですが...?
後ろに211系が連結されていました。
中央西線では、このような異種併結は日常茶飯事です。
列車はトンネルを抜けて愛知県へ入っていきます。
定光寺駅に着きました
ホーム狭っ!
降車客は私一人のみ。車掌さんも「何故この駅で?」という顔で私を眺めていました。
乗ってきた電車を見送って、さあ定光寺駅を探検です。
すごいカーブだね...
定光寺駅の隣の高蔵寺駅は乗降客数約5万人の都会駅。2駅先の多治見駅は約3万人。
なのに定光寺駅は約200人ときたもんだからもう。
定光寺駅探検1:名古屋方面ホーム
⇧名古屋方面ホームから高蔵寺方を望む
定光寺駅は2面2線の対向式ホームで、トンネルとトンネルに挟まれたカーブの途中、崖の横にあります。
⇧名古屋方面ホームから多治見方を望む
少し上には切り立った崖が見えます。
この時点ではまだ、秘境感はあまり感じられませんが...
後ろを振り返るとそこには玉野川(庄内川)の渓谷が。
お...落ちそう.....
待合室はまるで空中に建っているかのようです。
⇧窓がないので冬は大変そう。
待合室の中からも絶景を眺めることができますが、窓なんてないのでカメラを落とさないようにご注意を。
⇧2006年に設置された簡易TOICA改札機
改札は簡易TOICA改札機。他の簡易改札機設置駅と違い、入場も出場も両方前を向いていました。
飯田線と同じようなきっぷ回収箱も設置されていました。
右下に小さくJR東海と書いてあるので、最大でも31年前のものかな。
そうこうしているうちに自動放送が入り、特急しなのが車体傾斜装置を使って高速で通過していきました。
⇧タキ1000形...たぶん。
こちら側を通過していったのは貨物列車でした。特急よりは低速ですが、ホームが狭いので大分怖いです。
定光寺駅探検2:多治見方面ホーム
続いて、反対側の多治見・中津川方面ホームへ行ってみます。
反対側のホームへ行くには階段を降りて、トンネルをくぐらなければいけません。
待合室の隣の建物から階段を降ります。
薄暗い階段を降りていきます。結構急です。
階段を降りた左手に、ホームへ渡るトンネルがありました。真ん中にぽつんと立っているのはきっぷ回収箱です。
トンネルの反対側には出口がありました。
ホームより川に近いので、より美しい景色が眺められます。
トンネルに入ってすぐ、左手に見えたのは大きな『60』の文字。
なるほど、1967年5月に完成したんですね。
調べた所、W/Cとは水:セメントの比率を表す"水セメント比"だそうで、この場合セメント100Kgに対し水が58㍑混ぜられているようです。
突き当りで左に曲がり、赤く塗られた階段を上っていきます。
トンネル内はいくつも蛍光灯が設置されていて、外と変わらない明るさでした。
トンネル出口には銘板が。昭和42年5月27日、約51年前ですね。
⇧多治見・中津川方面ホームより高蔵寺方を望む
多治見方面ホームに着きました。こちら側は屋根のある距離が長いですが、落石対策かな?
⇧多治見・中津川方面ホームより多治見方を望む
反対側を見てみると、結構なカーブになっているのが分かります。その先にはすぐトンネルがあるので、ここに造るしかなかったんでしょうか。
1966年から使われている新愛岐トンネルから列車がやってきました。
近代化産業遺産・旧愛岐トンネル郡の方も、見に行ってみたいですね。
⇧快速名古屋行き、313系1500番台?+211系5000番台
やってきたのは快速名古屋行きです。これまた高速で駅を通過していきました。
ホーム横には謎の穴?が。はしごが新しそうなので、下になにかあるのかな?
さて、そろそろ駅の外に出てみましょうか。
⇧トンネル内から玉野川方向を望む
階段をおりて、トンネルをくぐって先程のホームへ戻ります。
さて、ホームへ戻ったら出口という看板の下から階段を降ります。
ここの階段といい、トンネルの階段といい、定光寺駅の階段はみんな急だな。
階段の途中からは愛知高原国定公園の門?が見えました。
近くに観光地はあるようですが、どれも徒歩圏外....
定光寺駅探検3:駅周辺を散策
⇧比較的新しそうな看板です。
階段の下から。この看板が無かったらおそらく10人中9人が素通りするでしょうな。
上を見上げてびっくり!ホームは薄い木の板と鉄枠で、しかも崖から飛び出ています。
さっきまであんなところに立っていたなんて....
名所案内は下2つが消されている....一体何があったというのだ。
しかし、名所案内があるだけましかな。
⇧左が名古屋方面、右が多治見方面
名所案内の隣りにある時刻表はスカスカ...といっても、朝は一時間最大6本も停車するようです。
観光地なので観光案内図もありますが、剥がれてきてしまっています。
駅を出て左手に進むと、トイレを発見。ちゃんとトイレがあるのはありがたいですね。
ちなみに懐かしの汲み取り式です。
さらに進むと、花が咲いているエリアがありました。
自然に生えたのか、手入れされているのか。
南国風の木も見られました。これは、何の木でしょうか。
道路右手には玉野川(庄内川)の渓谷が。
同じ川でも名古屋の街中とは全く違う表情を見せるのが面白い。
多治見方面ホームへの入り口に着きました。
ここには何の案内もありません。まあ分かるからいいか。
この先にはなにもないので、ここで引き返します。
駅の右手側にある看板です。これだけ見ると、山奥へ来たかのようですね。
⇧細い道路を高蔵寺方面へと進んでいきます
片側が山で、片側は川沿いに建つ集落。喫茶店もありました。
定光寺駅付近の廃墟『千歳楼』
暫く歩くと、謎の廃墟が姿を現しました。
んんん、なんだこれ。
手すりは錆びて曲がり、窓ガラスは割れて、板で塞がれています。
軽犯罪法違反の罪に問われる?ただの廃墟なら、こんな張り紙はないはず.....
と思って調べてみたら、この廃墟は『千歳楼』といって、2003年に6億円の負債を抱えて倒産した旅館のようです。
しかも、経営者の行方がわからなくなり、放火・不審火が起こったり、白骨死体が見つかったりと事件が続いたためにこのような張り紙、そして監視カメラが設置されているみたいですね。
⇩千歳楼現役時代の記事
調べる前に行ってよかった....
城嶺橋(しろがねばし)
⇧ホームから見た城嶺橋
千歳楼から少し戻ると、城嶺橋(しろがねばし)があります。
この橋の手前側が愛知県春日井市、向こう側は瀬戸市で、駅名の由来となった定光寺はこの端を渡った瀬戸市側に建っています。
⇧城嶺橋から多治見方面を望む
橋からは玉野川の美しい流れを望むことができ、度々通過する列車の警笛と相まって一層の秘境気分を味合わせます。
⇧城嶺橋から高蔵寺方面を望む
反対側には千歳楼の姿も。外にある階段の横には昔、大浴場があったようですが、火事で焼けてしまったそうです。
名古屋へ戻ります
⇧定光寺駅の待合室ベンチより
そうこうしているうちに列車が到着する時間が迫ってきたので、慌ててホームへ駆け上がります。
⇧ガラガラな電車。高蔵寺・春日井・鶴舞と停車するうち混雑してきました
相変わらず空いている列車に乗って、名古屋へ向けて出発です。
うとうとしていたらあっという間に名古屋に着きました。
というわけで、これで今回の旅はおしまい。
最後に
なんで今回は美濃太田から乗ったの?
美濃太田で用事があって、その帰り道に何となく定光寺駅に降りたんだよ...
下調べせずに行ったから、あの廃墟の事件のことも知らなかったんだよ...
それは、ある意味良かったかもね。
う、うん。
最後までご覧いただきありがとうございました!